友情結婚しようと思った話①

ゲイのこと

世間体の呪縛

これは私が30歳頃の話になります。(5〜6年くらい前かな?)

自己紹介記事でも書いたのですが、当時地方公務員として働いていた私は同期100人くらいがほぼ結婚している現状に本当に焦っていました。

このまま結婚しないとゲイだとバレて生きていけなくなる。

早く親を安心させたい。

毎日こんなことばかり考えていました。
これはゲイの方なら結構通らざるをえない道ではないかと思います。

特に親に、

・彼女いないの?

・早く結婚しなさい!

なーんて言われたもんならたまったもんじゃありません。
SNSを見ていると、「親にカミングアウト済みです」とか「親も理解しています。」という投稿を見ることも多くあります。
心の底から羨ましなぁと思います。
私は両親に自分がゲイであることを打ち明ける勇気などとてもありませんでした。
それは、私の両親が明らかに同性愛者に対して偏見の塊を持っているような人間だと分かっていた部分も大きかったです。

例えば、一緒にテレビを見ていてオネェタレントが出てきたもんなら、
「つまらん!チャンネル変えろ!」
なんて言われたことも多々あったし、
幼い頃から女の子の友達が多かった私に対して
「もっと男の子の友達も作ってね。」
と言われたこともありました。

もしかしたら薄々自分の息子はゲイなのではないか?と気がついていた部分もあるのかもしれません。
幼い頃から周りからからかわれたり、時にはイジメにもあったこともありました。
そんな経験もあるせいか、とにかく
普通に生きなければ!!!!
という考えが私の中に段々と蓄積されていったのです。

普通ってなに?

って今なら思えるし、当時焦っていた自分に言ってやりたいです。
同期ほぼ全てが結婚していく現状に耐えきれなくなってきた私は、
結婚しなければ!!
という考えで頭がいっぱいになりました。
それが私にとっては普通だと思い込んでいたのです。
ただ、結婚するとしてもどうしたらいいのか当時真剣に悩みました。

青春時代に無理やり彼女を作った苦い経験

中高校生の時、私は彼女がいたことが数回ありました。
それは決して付き合った女の子を好きだったからではありません。
「普通でありたい」という私の欲望を満たすために、たまたま告白してきた女の子と付き合ったのです。
付き合った女の子たちには本当に申し訳ないことをしたなと思っています。
どれも長続きこそしませんでしたが、真剣に自分を好きになってくれたことに対してあまりにも不誠実な行為ですよね。
結局キスすらできず手を繋ぐことが精一杯でした。
結果、どれも自然消滅という形でお付き合いは終わりを迎えていた気がします。
そんな苦い青春時代の思い出もあり、女性に嘘をついてまで結婚するのはやめようと考えていました。

友情結婚相手募集の掲示板

なら、どうやって結婚しよう・・・?
と当時必死にインターネットで検索しまくって見つけたの友情結婚の相手を募集する掲示板でした。
世の中にこんな便利なものがあるのかー!!!と、見つけた時は嬉しさでいっぱいだったことを今でも覚えています。
早速当時住んでいた地域で募集している方を検索してみたところ、募集している方の数の少なさに愕然としました。
地方在住で田舎だったこともあり、絶対数が少ないのもありますが、友情結婚という形を求めている方はそんなにいないのだろうか・・・?と焦りました。
そして私としても結婚できれば誰でもいいわけではありません。
形だけの結婚だと割り切った考えであれば誰でもいいと思います。
ただ、当時の私は結婚して、一緒に暮らして、子供を作って、家を建てて・・・という同期たちと同じレールを歩まなければという考えでしたし、両親が納得してもらうようなお相手でなければという思いもありました。(自分都合でなんて上から目線。)
「職業」、「年齢」、「年収」、「容姿」など、これらのなんとなーくの希望条件を満たしつつ、自分と気の合う人をマイノリティオブマイノリティの中で見つけるのは宝くじを当てるようなものに近いのではないでしょうか。(さすがに10歳以上も離れた人と結婚・・・とかは考えられなかったので。)
まして、ノンケの男女ですらお互いに「好き」という気持ちがあり恋愛を進める中で結婚という流れに進む中、恋愛感情がない相手とどうやって結婚の流れに進めていいのか分からなくなっている自分がいました。。。

見つけた!友情結婚専門の相談所

掲示板以外で何か友情結婚する手段はないのだろうか、と引き続きインターネットで検索する私が見つけたのは友情結婚専門の結婚相談所でした。
掲示板を発見した時以上に「おおおおお!!!こんなサービスが!!!」と感動を抑えられませんでした。
藁にもすがる想いで、迷わず相談所への入会を決めました。


まずは面談ということで田舎からはるばるお上りさんは上京するのです。
都内の一等地にあったビルのロビーかどこかに担当者が迎えにきてくれるスタイル。
相談所のオフィス?も確か「ここが相談所オフィスです!(どーん!!)」みたいな感じにはなっていなくて、友情結婚を全く匂わせないようなマイノリティへの配慮がなされていました。感動。

友情結婚といっても、その背景は実に様々です。
・私のようなゲイ、レズビアンなどの性的マイノリティ
・アセクシャル
・ノンセクシャル
・その他(相手への性行為を求めていない方)

など、それぞれ何らかの背景を抱えています。

そんな中で、私のように、

・親を安心させたい!
・世間体のために!
・キャリアのためにも身を固めておきたい!
・子どもが欲しい!

といったように様々な理由で相談所に入会されているようでした。

担当者と始まった面談では、いろーんな話をしました。

・そもそも何で結婚したいのか?
・どういう結婚の形を欲しているのか。(同居?形上の籍だけ入れたい?)
・子どもは欲しい?
・結婚のために転居は可能?
・相手に求める条件は?

ざっと1時間くらいだったような・・・。
その中でも印象的だったのは、やはり地方は圧倒的に紹介できるお相手が少ない、ということです。
ここにきてもその問題は切っても切れないのか・・・と愕然としました。
入会金も月額費も決して安いものではありません。
しかし、もう私にはこの相談所しか頼るところがなく、神にもすがる思いで入会することを決意しました。

入会してまずやらなければいけなかったことは、自分のプロフィールシート的なものを作り上げること。
話し合いシート?とも呼ばれていたような・・・。(どこの相談所か察しがついちゃいますかね。)
これが本当によくできたシステムでした。
自分の長所や短所を書いたり、これをされたら嫌だ、とかだけでなく、普段の生活スタイル、家事はどうしたいか(料理はやりたい!掃除は分担したい!)、子どもは欲しいか、結婚後は自身の性欲をどうやって処理するか、と事細かく記載するので、自分ってどんな人だっけ?とまるで転職活動の時のキャリアの洗い出しならぬ、自分自身の洗い出し作業とも言えます。

入会まで怒涛の流れで手続きを終えた私。
さて、お相手の紹介はあるかしら?!!と胸をワクワクさせながら相談所からの連絡を待ちました。
が・・・・。こない!!!!


そう。聞いていてある程度は覚悟していたものの、地方在住の登録者は少ないのです。
私は当時地方公務員だったこともあり、「結婚にあたって転居はできない。」という条件を出していました。
そうなると必然的にお相手側が「転居可能」という条件に合致する方に絞られます。
そもそも転居可能な方が結婚のためにど田舎に来てくれること自体、なかなかないですよね。
だって地方から都会に出ることはあっても、わざわざ友情結婚のために田舎に転居ってなんのメリットがあんねんって自分でも思いますもん。
(田舎をディスるわけではなくね。子育て政策充実している地方の自治体とかはもちろんある!!)

そんなことも合って入会後、数ヶ月はなーんも音沙汰なし・・・の状態でした。
せめて紹介がない月は月額費を取らないといったシステムならいいのになぁと当時よく不満を持っていました。
サービスを利用していないのにただ月額費だけを取られる状況にモヤモヤですよ。


そんなモヤモヤした中、お昼にラーメンを食べている時にその時はやってきました。
ごんきち様にご紹介したいお相手がございます。」
「きたああああああああ!!!!!!!!!」

とラーメン屋で叫びたい衝動を必死におさえてまずはメールをじっくりと読みます。
メールにはお相手の簡単なプロフィールが記載されている程度で、まずはこの方とお見合いしたいかどうかを相談所に返答する、という仕組みでした。
もちろん自分がお見合いを希望したからって相手も希望するわけじゃありません。
ここが結婚相談所の味噌ですね。
お互いに同時にプロフィールを送っているのですから、お互いお見合いしてみたい!と思わなければまずは始まらないのです。
数ヶ月も待った私はまずは会ってみないと何も始まらん!と思い、速攻で「お見合いしてみたいです!!」の回答を相談所へ返信。
結果・・・・・「お相手はごんきち様のお住まいの地域には転居が難しく、お見合いは不成立でした。」のお返事が。
ーーーーン!!!!!ですよ。
そうです。確かに私の住んでいたところは田舎です。
しかし、こうも田舎というだけで結婚から遠くのかよっと地方在住の不利な状況を思い知らされました。

もう無理なのかな・・・と諦めかけていたものの、それから割とすぐに次の方の紹介がありました。
隣県にお住まいの方で年齢も近く、ペットを飼いたい!という条件に「この人が運命の人だああああ!」とまたもや勝手に早くも舞い上がりました。
そして、なんとこの方と初のお見合いまで進むことになるのです。

〜②へ続く〜

プロフィール
執筆者
ごんきち

30代後半のゲイ。
地方公務員行政職を約10年経験後、転職して仕事を転々とする。
働くことは嫌いじゃないが、組織に属して生きていくことに違和感を抱き、思い切ってフリーランスに転身!
働くことへの価値観、自身のゲイの生き方など当ブログにて発信中!

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